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「HK-10」 テクニカル・インフォメーション
KT88 PP・モノーラル・パワーアンプ
■本機は「管球王国Vol. 38」発表機です
■このページの技術情報は試作機の実測データが記載されています。素子のバラツキ等で個々の製品の特性は若干異なります。
■サンプル機試作後の検討で,一部設計が変更されているモデルもございます。
■詳細はメールにてご案内いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。


■特性データ■   ■回路図・実体図■
モデル概要 ■KT88プッシュプル・モノーラル・パワーアンプ
■KT88はUL接続動作
■固定バイアス方式・・・Ipはシャーシ内部で調整
■各出力管は単独でバイアス調整可
■推奨プレート電流の調整値:60mA(無信号時)
■音量調整ボリューム付き
使用真空管 KT88x4本(ペアー2組) 6CG7/6FQ7x2本
ECC82/12AU7x2本 (ステレオ・モノーラル2台分)
定格出力 43W 8Ω負荷 周波数1kHz ひずみ率5%時の出力
最大出力 47W 8Ω負荷 周波数1kHz ひずみ率10%時の出力
周波数特性 10Hz〜80kHz ±0.5dB以内 出力1W 8Ω負荷時
ひずみ率特性 0.07%以下・1kHz/10kHz/100Hz・出力1W時
ゲイン 26.7dB 周波数1kHz
NFB 8.5dB・・標準値
入力端子 アンバランスRCA端子・入力インピーダンス100kΩ
出力端子 8Ω,16Ω(または4Ω,8Ω対応可)
残留雑音 0.5mVrms以下
搭載トランス・型名 出力トランス:FX-40-5・・ISOカタログ品
電源トランス:MX-205・・ISOカタログ品
チョーク:SC-5-150・・ISOカタログ品
AC電源・消費電力 AC100V 50/60Hz 95W(無信号時)
寸法・重量 (W)300x(H)55x(D)200mm・・・シャーシの寸法
トランス,ゴム足含む高さ:約180mm
重量:約8.5kg  いずれもモノラル1台の値
付属資料 回路図・実体配線図・部品表

■本体と真空管セットの価格は「モノーラル2台分」消費税・送料を含みます。
(沖縄県・離島の方への送料は別途お知らせします)

■真空管のブランドは代理店の在庫都合等により変更の可能性もあります。
本体パーツ・キット 真空管を除く全パーツセット ¥160,000
真空管セット KT88はペアー(2本組)選別品x2・Svetlana
12AU7・Golden Dragon x4本(モノ2台分)
¥46,000
完 成 品 組立は手配線・バイアス調整済み ¥236,000
■「HK-10」のシャーシ、トランス・特注部品販売
シャーシ・1台 シャーシは穴加工済 ¥14,000
■出力トランスは「FX-40-5」 ■電源トランスは「MX-205」
■チョークコイルは「SC-5-150」いずれもISOカタログ品。詳細はこちらです

「HK-10」の音質(管球王国Vol.38抜粋)
マルチアンプ・システムのウーハー用でチューニングした本機は,全帯域アンプとしても好印象です。小音量時の包み込まれるようなふくよかな低域は,多極管PPアンプであることを忘れさせてくれます。音量を上げた時の低域はさらに伸びやかに聴こえます。

良くわからないのですが,DFの大小は低域だけではなく中高域の音質にも変化をもたらすようで,ピアノとかブラシで擦るドラム音の輪郭が鮮明に聴こえてきます。

ダブル・ウーハーを完全にドライブして超低域再生をする,というまでは望めませんが,数10Hzから100Hzあたりのエネルギー感が充実し,その分,中高域のレベルが上げられます。その結果ウーハーとスコーカーのつながりがすこぶる良くなったのが大きな収穫です。

ご参考までに,ウーハーは38センチダブルウーハ,JBL2225Jパラレル(8Ω),エンクロージャーは自作の容量約295リッターのバスレフ型です。バスレフ・ポートの共振周波数は実測60Hz。中高域用のドライバーはTAD TD-4001,カットオフ周波数は500Hz,チャンデバの傾斜は12db/octの2ウェイ・マルチシステムです。スコーカーとウーハーは同相接続です。


「追記」本機のNFBについて
多極管、ビーム管出力アンプでは出力管の出力インピーダンスを下げるためにNFBが必須になります。このためNFBには局部帰還とオーバーオールの電圧帰還とを併用することになりまが、本機ではUL接続による局部帰還と、NF抵抗によるオーバーオールNFBとを併用しています。

UL接続による帰還量は、出力トランスのSGタップの巻き数比と出力管KT88のスクリーングリッドの感度で自動的に決まってしまいますが、本機の出力トランスFX-40(Zp-p=5kΩ)とKT88では約4dBの局部帰還量です。NFB抵抗によるオーバーオールのNFB量は、一般的には少なくとも10dB以上、高域発振に対する安定度(ループ特性)との兼ね合いもありますが、おおむね15dB前後に設定されるアンプが多く見られます。当初本機もKT88の出力インピーダンスを十分低下させ、ダンピングの利いた低域再生を期待して14dB程のオーバーオールNFBで試聴していました。


このNFB量でも電圧増幅段を低インピーダンス設計にした効果が出て、HK-7(過去のKT88 PPアンプ)と比べますと確実に充実した低域再生が得られます。しかし、どうも当初の思惑である低域の豊かさはいまひとつ不満の残る音質です。

ここで試行錯誤の結果、オーバーオールのNFB量を少しずつ減らす実験を試みてみますと、あるNFB量を境にマルチシステムのダブルにつながれた38センチウーハーが俄然活気づいてくるのがわかります。そしてマルチのウーハーばかりではなく、全帯域のスピーカーシステムでの試聴でも、低域の豊かさが心地よい雰囲気を醸し出しています。

NFBを減らすと言うことは、とにもかくにもダンピングファクターを低下させているわけですが、結果的には7〜8dBのNFBが好結果をもたらし、最終的には本機のオーバーオールNFBは8.5dBとしています。


雑誌等で発表される回路図どおりに真空管アンプを自作される方が多いと思いますが、是非ご自宅のシステムに合わせたチューニングをしてみてください。発表機のNFBを増加させるのは、ループ内の安定性を十分確認した上でNFB量の変更が必要ですが、NFB量を減らす変更は安定度は増加する方向ですので、音質のみに着目してトライできます。

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